「うちの会社はまだ人数も少ないし、法定雇用率の引き上げなんて大企業の話でしょ?」 もし、あなたの会社の経営陣や人事担当者がそう考えているとしたら、それは注意が必要なサインかもしれません。
2026年7月、障害者法定雇用率が「2.7%」へと引き上げられ、対象となる企業の基準が「従業員37.5人以上」へと一気に拡大されました。「これまでは義務化の対象外だった」という中小企業であっても、一夜にして対象企業となるケースが増えています。
しかし、現場から聞こえてくるのは「ハローワークに求人を出せばなんとかなるだろう」「とりあえず誰か一人採用できればクリアできるはず」という、楽観的な声ばかり。本当に、今のその考え方のままで乗り切れるでしょうか。
「人数合わせの採用」が、なぜ一瞬で破綻してしまうのか
多くの企業が陥りがちな最大の誤解は、今回の引き上げを単なる「法律のクリア(人数合わせのイベント)」と捉えてしまうことです。「基準を満たすために、とにかく誰でもいいから席を埋めよう」という焦りからスタートした採用は、高確率でミスマッチを生み出します。
頭数を揃えることばかりに気を取られ、「その人が自社でどんな業務を担うのか」「周囲の社員はどうサポートするのか」という事前の整理を怠ると、入社後に組織全体の歯車が狂い始めます。結果として、早期離職につながり、またゼロから採用をやり直すという悪循環に陥るのです。
問い: あなたの会社が考えている採用計画は、単に「法律の数字を満たすための数式」になっていませんか?

数百人規模の企業を襲う「複数名採用」の壁
すでに障害者雇用に取り組んでいる数百人規模の企業であっても、今回の引き上げは他人事ではありません。率の引き上げに伴い、「追加でもう1名、あるいは複数名の採用」を急に迫られるケースがあるからです。
これまで「1人分の業務」を切り出すことでなんとか維持してきた体制に、もう1人分の業務を追加するとなると、既存の業務フローそのものを見直さなければなりません。「そもそも切り出せる仕事がもう残っていない」「現場の受け入れキャパシティが限界だ」という悲鳴が上がるのは、採用手法の問題ではなく、社内の「構造の整理」ができていないことが原因です。

求人票を書く前に、本当に整理しておくべき「自社の現在地」
上手くいかない会社ほど、「どうやって募集するか」「どこに求人を出すか」という手法論に飛びつきます。しかし、一番の問題は、手法の選択肢を知らないことではなく、「自社の頭の中が整理できていないこと」そのものです。
- 自社には本当に、新しく仲間を迎えるための「切り出せる業務」がないのか?
- 現場の社員が抱いている「受け入れへの不安」の正体は何なのか?
- 経営陣が目指す組織の姿と、人事が進めようとしている採用にズレはないか?
これらが曖昧なままどれだけ熱心に採用活動を続けても、求職者に見透かされてしまうか、あるいは自社に合わない人を呼び寄せてしまうだけになってしまいます。

まとめ
2026年7月の法改正は、単なる「守らなければならない義務」ではありません。これまで見過ごしてきた自社の業務プロセスの無駄を見直し、組織としての受け入れ態勢や、多様性への取り組みを見直すきっかけでもあります。
急に「対象企業になった」「追加採用が必要になった」と焦って動き出す前に、まずは一歩立ち止まってみませんか。今必要なのは、新しい求人媒体に申し込むことではなく、自社の現状を言葉にして、頭の中をきれいに整理することです。
「何から手をつければいいのかわからない」
「自社の何が整理できていないのか、そこから一緒に考えてほしい」
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