「今年の採用目標、達成できそうです」——その報告を喜ぶ前に、確かめておきたい“もう一つの数字”

「今期は、なんとか採用目標を達成できそうです」——下半期に入り、そんな報告が社内で交わされる時期になってきました。

求人票を出し続け、面接を重ね、なんとか必要な人数を確保する。数字だけを見れば、今年は「うまくいった」と言えるのかもしれません。実際、目標としていた採用人数に近づくと、担当者もほっと胸をなでおろすものです。

けれど、その「達成できそうな数字」は、本当に去年掲げていた目標と同じものでしょうか。事業環境の変化に合わせて、気づかないうちに目標人数そのものが下方修正されていた、ということはないでしょうか。だとすれば、「達成率が上がった」という報告は、必ずしも「採用がうまくいくようになった」ことを意味しません。

さらに言えば、仮に「何人採れたか」という数字だけを追いかけて目標を達成できたとしても、その後、その人たちがどうなっているかまで、きちんと目を向けられているでしょうか。今日は、採用活動を振り返るときに、多くの会社が見落としがちな「もう一つの数字」について、一緒に考えてみたいと思います。

1.「採れた人数」だけを見ていると、うまくいっているように錯覚してしまう

採用活動の振り返りというと、多くの会社ではまず「何人採用できたか」「目標人数に対してどれくらい達成できたか」という話から始まります。もちろん、これ自体は大切な指標です。

けれど、この数字だけを見て「今年は採用がうまくいった」と結論づけてしまうのは、少し早計かもしれません。なぜなら、「採れた人数」は、あくまで入り口の話でしかないからです。

御社では、今年入社した人たちが、今どんな状態で働いているか、採用の振り返りの場できちんと話題に上がっているでしょうか。それとも、内定を出して入社が決まった時点で、その案件は「無事終了」として、意識の外に置かれてしまっているでしょうか。もし後者であれば、「採れたかどうか」だけを見て、「採ったあと、その人がどうなったか」を見ていない状態だと言えます。

2.「目標人数」という数字自体が、実は毎年静かに動いていること

もう一つ、見落とされがちなのが「目標人数」そのものの変化です。事業計画の見直しや、現場の受け入れ体制の都合などによって、採用目標の人数は、年の途中で調整されることが少なくありません。

こうした調整自体は、事業運営として自然なことです。問題は、目標人数が変わったという事実が、社内できちんと共有され、振り返りのときに考慮されているかどうかです。

もし目標が下方修正されたことを忘れたまま「今年は達成率が高かった」とだけ評価してしまうと、実態よりも良い結果が出ているかのように見えてしまいます。御社の「達成率」は、去年と同じものさしで測られた数字でしょうか。それとも、ものさしの目盛り自体が、いつの間にか変わってしまっているのでしょうか。


3.採用の「量」を追いかけるあまり、後回しになっている問いがある

人材の確保が難しい状況が続く中、多くの会社では「とにかく必要な人数を集めること」が、採用活動の最優先事項になりがちです。もちろん、人手が足りなければ事業は回りません。それ自体は当然のことです。

けれど、「何人採れたか」という量の話ばかりに意識が向いていると、「採った人が、その後どれくらいの期間、会社に残ってくれているか」という問いが、いつの間にか後回しになっていきます。

特に、ある程度の経験を積んだ層が離れていくとき、その影響は新人が一人辞めるときよりもずっと大きく、現場に響きます。御社では、「今年は何人採用できたか」という話と同じくらい、「数年前に採用した人たちが、今どれくらい残っているか」という話が、社内でセットで語られているでしょうか。もし前者しか話題にならないとしたら、それは「採用の成功」を、入口の数字だけで判断してしまっている状態なのかもしれません。

4.「もう一つの数字」に向き合うために、まず社内でしておきたいこと

ここまで読んで、「では、定着率のようなものを新たに*KPIとして設定すればいいのか」と考えたくなるかもしれません。けれど、いきなり新しい数字を追加することが、必ずしも最初の一歩ではありません。

大切なのは、数字を増やす前に、「うちの会社は、採用活動を通じて本当は何を実現したいのか」を、社内で一度言葉にしてみることです。とにかく人数を埋めることなのか、それとも、長く一緒に働ける人と出会い続けることなのか。この土台の考え方が定まらないまま「もう一つの数字」だけを追加しても、結局はまた新しい数字に振り回されるだけになってしまいます。

まずは、直近の採用活動を振り返るときに、「採れた人数」の話だけで終わらせず、「その人たちが今どうしているか」まで自然に話題にのぼる場を作ってみること。それこそが、採用を「その場限りの成果」ではなく、「積み上がっていく成果」として捉え直すための、最初の一歩になります。

*KPIとは?

最終目標(KGI)を達成するためのプロセスや進捗度合いを定量的に測る「重要業績評価指標(中間目標)」のことです。

まとめ

「今年も、なんとか採用目標は達成できそうです」——そう安心していても、日々の業務に追われる中で、その数字が本当は何を意味しているのかを、一から見直す時間はなかなか取れないものです。

まずは、自社の現状を言葉にして整理してみることが第一歩です。

「達成率という数字の裏で、目標人数はどう変わってきたのか」

「採れた人が、その後どうなっているか、振り返りの場で話題になっているか」

——それを一つひとつ言語化していくだけでも、見えていなかった課題がはっきりしてきます。

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    みなさん、こんにちは。アンデア代表の吉開です。

    私の実家は、福岡県の田舎で小売店を営んでいます。東京で仕事をしていましたが、コロナ禍で父が体調を崩し、福岡へ帰省することに。ありがたいことに、50年以上も地元の方々に愛されてきた店舗をなくすわけにはいかず、家業を手伝い始めました。ですが、そこで目にしたのは、想像を超えたアナログな光景でした。PCができない父、売上入力に追われる母、指示待ちのパートさん、FAXや電話での確認……。デジタルが普及した今でも、効率化にはほど遠い現状に言葉を失いました。
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