応募はあるのに、面接に来てもらえないのはなぜか

応募は来る。でも、面接までたどり着かない——その違和感をどう捉えるか

「応募は集まる」「内定も出せている」「入社も決まる」
それでも、数か月〜1年以内に退職者が続く——
そんな状況に心当たりはないでしょうか。

このとき、多くの企業では
「最近の若手は定着しない」
「採用の見極めが甘かったのかもしれない」
といった個人や世代に理由を求めがちです。

しかし、採用が“うまくいっているように見える”にもかかわらず退職が続く場合、
問題は採用活動そのものではなく、採用と組織の“つながり方”にある可能性があります。


採用と定着は、同じ線上にあるとは限らない

採用は「入社までのプロセス」、定着は「入社後の体験」です。
この二つは本来つながっているはずですが、実際には別物として運用されているケースも少なくありません。

たとえば、

  • 採用時に伝えていた期待と、現場で求められる役割が微妙にずれている
  • 「やりがい」や「成長」の話はしていたが、日常業務の現実が共有されていなかった
  • 面接では評価されていた強みが、配属後には活かされていない

こうしたズレは、入社直後には表面化しにくく、「何か違う」という感覚だけが静かに蓄積されていくことがあります。


退職理由は「本音」として語られにくい

退職時の理由は、必ずしもその人の本音を反映しているとは限りません。

  • 「キャリアアップのため」
  • 「家庭の事情」
  • 「やりたいことが見つかった」

これらは事実である一方で、
組織側が改善できる可能性のある要因が、言語化されないまま終わることも多いのが実情です。

そのため、「退職理由を聞いているから原因は把握できている」と考えると、
かえって構造的な違和感を見落としてしまうことがあります。


採用が順調な企業ほど、見直しにくいポイント

採用がある程度うまくいっている企業ほど、

  • 応募が来ている
  • 内定辞退も少ない
  • 現場からの不満も表立っていない

といった理由から、
「採用のやり方は合っているはず」という前提が置かれやすくなります。

しかしその前提があることで、

  • 誰に、どんな期待をして採用しているのか
  • その期待は、現場でどのように受け取られているのか
  • 入社後、その人は「何をもって評価されていると感じているのか」

といった問いが、十分に言語化されないままになっていることもあります。


退職者が多いときに、まず整理したい視点

解決策を考える前に、
次のような問いを社内で共有できるかどうかが、整理の出発点になります。

  • 採用時に伝えている「会社像」は、誰の視点で語られているか
  • 入社後、その人は「期待されている役割」をどこで知るのか
  • 活躍している人と、早期に離職する人の違いは、どこにありそうか

これらは正解を出すための問いではなく、状況を立体的に捉えるための問いです。


「辞めた理由」より、「続いている理由」に目を向ける

退職者が多いときほど、「なぜ辞めたのか」に意識が向きます。
一方で、

  • どんな人が、どんな状態で続いているのか
  • その人たちは、何に納得して働いているのか

という視点は、意外と共有されていないことがあります。

採用と定着の間にあるズレは、辞めた人の中ではなく、続いている人の中にもヒントがある場合があります。


まとめ

採用ができているのに退職者が多い。
この状態は、「採用が失敗している」と単純に切り分けられるものではありません。

むしろ、
採用・配属・現場・評価といった要素が、どうつながっているかを一度立ち止まって整理するサインとも言えます。

答えを急ぐ前に、まずは自社の状況を言葉にしてみること。
そこから見えてくるものが、次の一手の前提になります。



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